仕事を変わってからというもの、お義父さんの和代さんに対する態度が変化していきます。 お義父さんの姪たちと比べられ、手紙は勝手に開封され、バカだの役立たずだの罵られる毎日でした。
新しい仕事の上司が、顔色の悪い和代さんを心配して、誰にも聞こえない場所で話を聞いてくれました。 そして一言
「家、出たら? とりあえず住むところは見つけてあげるよ」
と言ってくれたのです。 でも・・・と躊躇する和代さん。
「いや、あなたは家族から離れるべき。 守ってくれない家族なんてこっちから捨ててしまえ!」
その一言がきっかけで、家出同然に飛び出して1年間帰らなかった和代さん。
初めての一人暮らしは慣れない事ばかりだったそうですが、心穏やかに暮らす事が出来たと言います。 1年経って少し余裕が出てきて、もう少し広いところに引っ越したいと思うようになった和代さんは、お母さんに電話を掛けました。
泣きながら「一度顔を見せて」というお母さんにほだされて、家に戻った和代さんに更なる苦労がのしかかってきます。
一旦、家に戻って10日後・・・、お母さんが突然の事故死。
お義父さんが喪主で葬儀を済ませたあと、なんとお義父さんが突然の失踪。
行政手続きやクレジットカードの解約などの手続きをはじめ、人が亡くなったあとの手続きは仕方なく和代さんがやっていましたが、間もなくお母さん名義が多額の借金があることが判明。
どうやら、お義父さんがお母さんの名義であちこちからお金を借りていたようでした。 途方に暮れる和代さんに手を差し伸べてくれたのは、かつて家を出るように助言してくれた上司で、弁護士事務所を紹介してもらい、そこで相続放棄の手続きを取る事が出来たと言います。
自分の手続きが終わったあと、和代さんは「私が相続放棄したら、次は誰が相続人になりますか?」と弁護士の先生に尋ねました。 そこで返ってきた答えを聞いて、和代さんは青ざめます。
年寄りに借金を背負わせるなんて!
慌てて、お祖母さんにも相続放棄の手続きを進めますが、当時和代さん家族が住んでいた家は、お母さん名義でお母さんとお祖母さんでローンを支払っていたものであったため、
「この家に住めなくなるなんて嫌」
と、お祖母さんは大反対。 事情を言葉を尽くして説明しても分かってもらえません。
再び途方に暮れる和代さん。