未来活動のブログ

終活を違う視点で眺めてみよう。

和代さんのこと②

和代さんは、もちろん彼のことは大好きだったと言います。 けれど、彼女の中では別な思いもありました。


「この人と一緒になれば、家を出ていける・・・!」


そう、彼女はとにかく自分の家から離れたかった。 話を聞いてくれないお母さん、過干渉で縛りのきついお義父さんのいる家がとにかく息苦しかった。 彼は和代さんの求めに応じて、和代さんの家族に正式に挨拶します。 
結納を交わしたわけではありませんが、指輪ももらい、一緒に旅行も出来て、このときが一番幸せだったと彼女は言います。


しかし、その幸せは長く続きませんでした。


彼は反社会勢力と関わり合いがあったらしく、和代さんもトラブルに巻き込まれ、家にもそのせいで迷惑をかけてしまうのです。 彼とは連絡が付かなくなり、事が事だけに誰にも相談出来ずにいました。


それでも何とか心機一転を図りたかった和代さん、5年以上続けた会社を辞める決心をします。 環境を変えて、イチから出直したい・・・そう思っていたのに、お母さんとお義父さんは会社を辞めることを大反対。 親の立場からすれば、安定した職業にいるのに何故そんなバカげたことを、という思いもあったことでしょう。 しかし「じゃあ、私はどうすればいいのよ」と泣く和代さんに対する返事は「我慢して会社に行けばそれだけで給料が入ってくるのに、何が不満なの?」とまるで答えになっていません。


その頃には、心がすっきりすり減ってしまっていた和代さん。 親に黙って会社に退職願を出してしまいました。 


その当時の家族は、和代さん・お母さん・お義父さん・和代さんのお母さんのお母さん。 お母さんとお義父さんは揃って出かけることも多く、お祖母さんを残して出かけるわけにいかず、家に閉じこもる時も多かったといいます。


「傍から見れば恵まれていたかも知れません。 でも、いつも縛られていました」


と、和代さんは言います。 


会社を辞めて、失業保険を貰いながら次を考えようとしていたけれど、家族の顔を見る時間が長くなるのも嫌で、和代さんは次の仕事を見つけます。

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